小滝橋動物病院 新目白通り第2高度医療センター お電話0359585512
ここでは特徴的な症例について、一部をご紹介いたします。
※手術の写真を掲載しておりますので、苦手な方はご注意ください。
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進行性脊髄軟化症

進行性脊髄軟化症は重度の脊髄障害に続発して生じる、致死的な病態です。 椎間板ヘルニアグレード5や交通事故などによる椎体骨折、椎体脱臼などにより生じた脊髄障害部を中心に、頭尾側方向に脊髄の壊死が進行することで強い疼痛や呼吸障害を呈し死に至る怖い病気です。 椎間板ヘルニアグレード5では約10〜15%が発症すると言われており、さらにフレンチブルドッグでは約30%とさらに確率が高いと報告されています。 以前は治療法が確立しておらず、発症した場合には安楽死が推奨されていましたが、近年、有効な外科治療が報告され大幅に救命率が上昇しました。 手術は、広範囲片側椎弓切除術と硬膜切開術という術式を組み合わせて行います。進行性脊髄軟化症を生じている脊髄は、炎症により腫れており、これがさらなる悪化につながります(図1:進行性脊髄軟化症のMRI)。そのため、上記の手術により脊髄にかかる圧を減圧することで進行を抑制します。 進行性脊髄軟化症状は発症してしまった場合、時間との勝負となります。脊髄の壊死が呼吸障害や前肢の麻痺を生じる領域まで達してしまった場合には、手術で進行がとまったとしてもQOLが保つことができないため安楽死が推奨されます。そのため、呼吸障害がでるまでに診断し治療することが重要となります。ただし、この手術は救命を目的としたものとなりますので、通常の椎間板ヘルニアの手術と異なり、脊髄機能の改善は認められませんので、排便や排尿、皮膚の管理などの介護が生涯必要となります。 当院でも積極的に実施している手術となりますので、軟化症と診断された、疑いがあると診断された飼い主様はいつでもご相談ください。 神経科 武藤
脊髄が進行性脊髄軟化症を強く疑わられるMRI(青矢頭領域)
手術写真。一部脊髄が壊死しているのが確認できる